スーツの魂、生地に宿る:イギリス vs イタリア、あなたならどちらを選ぶ?

 目次

1. はじめに:スーツ生地の奥深さ 1.1 オーダーメイドスーツの魅力 1.2 生地がスーツの印象を左右する理由

2. イギリス生地の真髄 
2.1 イギリス生地の歴史と伝統
2.2 イギリス生地の特徴:堅牢性と品格
2.2.1 打ち込みの強さ
2.2.2 豊富な色柄と伝統的なチェック
2.2.3 ドライな質感と重厚感
2.2.4 シワになりにくさと耐久性
2.3 代表的なイギリス生地ブランド
2.3.1 Dormeuil(ドーメル)
2.3.2 Scabal(スキャバル)

2.3.3 Holland & Sherry(ホーランド&シェリー)

2.3.4 Harrisons of Edinburgh(ハリソンズ オブ エジンバラ)
2.3.5 Savile Row Bespoke(サヴィル・ロウ・ビスポーク)
2.4 イギリス生地がおすすめな人・シーン
2.4.1 誠実さや信頼感を重視するビジネスパーソン
2.4.2 クラシックなスタイルを好む方

2.4.3 長く愛用できるスーツを求める方

2.4.4 フォーマルなシーンや重役会議
2.4.5 寒冷地での着用

3. イタリア生地の魅力 

3.1 イタリア生地の歴史と発展

3.2 イタリア生地の特徴:しなやかさと色気

3.2.1 柔らかくしなやかな肌触り

3.2.2 艶やかな光沢感
3.2.3 豊かなドレープ性

3.2.4 鮮やかな色使いと繊細な柄

3.2.5 軽量で快適な着心地

3.3 代表的なイタリア生地ブランド

3.3.1 Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)

3.3.2 Loro Piana(ロロ・ピアーナ)
3.3.3 Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)

3.3.4 Reda(レダ)

3.3.5 Cerruti(チェルッティ)

3.4 イタリア生地がおすすめな人・シーン

3.4.1 個性や華やかさを表現したい方
3.4.2 ファッション感度の高いビジネスパーソン

3.4.3 軽やかで快適な着心地を求める方

3.4.4 パーティーや会食などの華やかな場
3.4.5 温暖な気候での着用

4. イギリス生地とイタリア生地の比較:一覧表で理解を深める

5. あなたにぴったりの生地を選ぶためのポイント 

5.1 用途と着用シーンを明確にする

5.2 どのような印象を与えたいか
5.3 気候と季節を考慮する
5.4 自身の体型や骨格との相性
5.5 予算とブランド選び

6. オーダーメイドスーツを最大限に活かすために 

6.1 信頼できるテーラー選び

6.2 採寸の重要性

6.3 仕立てのディテールにこだわる

6.4 適切なケアとメンテナンス

7. まとめ:究極の一着を見つける旅へ

1. はじめに:スーツ生地の奥深さ

1.1 オーダーメイドスーツの魅力

オーダーメイドスーツは、既製服とは一線を画す、まさに「あなただけの一着」です。身体のラインに吸い付くようなフィット感はもちろんのこと、デザイン、裏地、ボタン、そして何よりも「生地」を自由に選べる点が最大の魅力と言えるでしょう。既製服では味わえない、細部にまでこだわり抜いたスーツは、着る人の自信と品格を格上げしてくれます。

1.2 生地がスーツの印象を左右する理由

スーツの印象を決定づける要素は多岐にわたりますが、中でも生地が占める割合は非常に大きいと言えます。生地の色柄はもちろんのこと、その素材感、光沢、ドレープ性(生地が自然に垂れ下がった時の優雅なひだ)は、スーツ全体の雰囲気を大きく左右します。例えば、同じネイビーの無地のスーツでも、生地が異なれば、与える印象は全く異なるものになるでしょう。生地は、スーツの「顔」であり、着用する人の個性を映し出すキャンバスなのです。

2. イギリス生地の真髄

 イギリスは、伝統的なスーツ発祥の地として、紳士服の歴史を語る上で欠かせない存在です。その歴史の中で培われた生地は、まさに「堅牢」と「品格」を体現しています。


2.1 イギリス生地の歴史と伝統

18世紀後半の産業革命以降、イギリスは毛織物産業の中心地として発展しました。特に、羊毛の質が高く、気候が湿度に富んでいたこともあり、耐久性に優れた生地の開発が進みました。英国紳士が着用するスーツは、カントリーサイドでの活動やビジネスシーンにおいて、実用性と威厳を兼ね備える必要があったため、自然と丈夫でフォーマルな印象を与える生地が求められるようになりました。ロンドンのサヴィル・ロウに代表されるビスポークテーラーの存在も、イギリス生地の発展に大きく貢献しています。


2.2 イギリス生地の特徴:堅牢性と品格

イギリス生地の最大の特徴は、その「堅牢さ」と「品格」にあります。具体的には以下の点が挙げられます。


 2.2.1 打ち込みの強さ

 イギリス生地は、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を強く打ち込むことで、密度が高く、しっかりとしたハリとコシが生まれます。これにより、型崩れ
 しにくく、美しいシルエットを長く保つことができます。まるで鎧のような堅牢さは、伝統的な英国紳士のスタイルに欠かせない要素です。


 2.2.2 豊富な色柄と伝統的なチェック

 伝統的なヘリンボーン、バーズアイ、グレンチェック、ストライプなど、クラシックで落ち着いた色柄が豊富に揃っています。特に、チェック柄はイギリス
 生地の代名詞とも言え、そのバリエーションの豊かさは特筆すべき点です。これらの柄は、ビジネスシーンはもちろん、フォーマルな場にも相応しい品格を
 醸し出します。


 2.2.3 ドライな質感と重厚感

 触れた時に感じるのは、サラッとしたドライな質感です。この質感は、生地の毛羽立ちが少なく、光沢が控えめであることによって生まれます。また、
 しっかりと打ち込まれているため、生地自体の目方が重く、スーツに重厚感を与えます。この重厚感は、着用者に安定感と威厳をもたらします。


 2.2.4 シワになりにくさと耐久性

 打ち込みが強く、ハリがあるため、一般的な使用であればシワになりにくいという利点があります。また、非常に丈夫であるため、長く愛用できる耐久
 も持ち合わせています。日々のビジネスシーンでヘビーユースする方にとっては、非常に魅力的なポイントです。


2.3 代表的なイギリス生地ブランド

数あるイギリス生地ブランドの中でも、特にその名が知られ、世界中のテーラーから信頼されているブランドをご紹介します。


 2.3.1 Dormeuil(ドーメル)

 1842年創業のフランスのブランドですが、創業当初からイギリスの工場で生地を生産しており、イギリスの伝統的な技術とフランスのエスプリが融合
 した生地が特徴です。最高級の原毛を使用し、卓越した技術で織り上げられた生地は、その高い品質と独特の光沢で世界中のVIPを魅了しています。
 特に、「AMADEUS(アマデウス)」シリーズは、耐久性と美しい光沢を兼ね備えた人気コレクションです。


 2.3.2 Scabal(スキャバル)

 「織り上がった生地は、絵画と同じく芸術である」という哲学を持つ、1938年創業のベルギーのブランド。ドーメル同様、生地の生産はイギリスで行われ
 ています。非常に高い品質基準を持ち、希少なスーパーファインウールやカシミアなど、最高級の原毛を用いた生地を数多く発表しています。特に、

 24Kの金糸を織り込んだ「TREASURE BOX(トレジャーボックス)」や、ダイヤモンドダストを織り込んだ「DIAMOND CHIP(ダイヤモンドチップ)」
 など、革新的なコレクションでも知られています。


 2.3.3 Holland & Sherry(ホーランド&シェリー)

 1836年創業の老舗中の老舗。英国服地の伝統的な技術と最高級の天然繊維にこだわり、その品質は世界中で高く評価されています。膨大な数の生地
 コレクションを有し、顧客のあらゆるニーズに応えることができるのが強みです。特に、耐久性に優れた「WORSTED(ウーステッド)」コレクションや、
 ツイード、フランネルなどのカントリー系の生地も充実しています。


 2.3.4 Harrisons of Edinburgh(ハリソンズ オブ エジンバラ)

 1863年創業。イギリスのエジンバラに拠点を置くマーチャント(服地商)です。英国の伝統的な服地を数多く取り扱い、その品質と品格は世界中の
 テーラーから絶大な信頼を得ています。特に、しっかりとした打ち込みとコシのある生地が特徴で、ビジネスシーンに最適な定番コレクションが充実して

 います。「FRONTIER(フロンティア)」は、耐久性に優れ、シワになりにくいビジネスマンに人気のコレクションです。


 2.3.5 Savile Row Bespoke(サヴィル・ロウ・ビスポーク)

 特定のブランド名というよりは、ロンドンのサヴィル・ロウ地区にあるビスポークテーラーが使用する、最高級の英国生地の総称です。これらのテーラー
 は、自社の名を冠したオリジナル生地や、提携する一流ミル(織物工場)から仕入れた生地を使用します。まさに、英国紳士の究極のスタイルを追求する
 ための生地と言えるでしょう。


2.4 イギリス生地がおすすめな人・シーン

イギリス生地は、その特性から以下のような方やシーンに特におすすめです。


 2.4.1 誠実さや信頼感を重視するビジネスパーソン

 堅牢で落ち着いた印象のイギリス生地は、ビジネスシーンにおいて相手に誠実さや信頼感を与えます。特に、プレゼンテーションや重要な商談など、相手
 に与える印象が重視される場面で力を発揮します。


 2.4.2 クラシックなスタイルを好む方

 英国紳士の伝統的なスタイルに憧れがある方や、流行に左右されない普遍的なクラシックさを求める方には、イギリス生地が最適です。時代を超えて
 愛される品格のあるスーツが仕上がります。


 2.4.3 長く愛用できるスーツを求める方

 耐久性に優れているため、頻繁に着用するビジネススーツとして最適です。しっかりとメンテナンスをすれば、10年、20年と長く愛用できる一生もの
 のスーツとなるでしょう。


 2.4.4 フォーマルなシーンや重役会議

 冠婚葬祭などのフォーマルなシーンや、会社の重役会議など、TPOをわきまえた厳粛な装いが求められる場面では、イギリス生地の持つ威厳と品格が
 非常にマッチします。


 2.4.5 寒冷地での着用

 打ち込みが強く、生地が厚手であるため、防寒性にも優れています。冬季のビジネスシーンや、寒冷地での着用には、イギリス生地のスーツが体を温かく
 保ってくれます。

3. イタリア生地の魅力

 ファッションの中心地として世界をリードするイタリア。その生み出す生地は、イギリスとは対照的に、「しなやか」で「色気」を感じさせる魅力を放ちます。


3.1 イタリア生地の歴史と発展

イタリアの毛織物産業は、中世にまで遡りますが、特に20世紀に入り、ファッション産業の隆盛と共に大きく発展しました。イタリア人は、着心地の良さや、見た目の美しさを重視する傾向が強く、その国民性が生地にも色濃く反映されています。特に、ビエラ地方は高級毛織物産地として有名で、数々の名門ブランドが誕生しています。彼らは、最新の技術と伝統的な職人技を融合させ、常に新しい生地を生み出し続けています。


3.2 イタリア生地の特徴:しなやかさと色気

イタリア生地の最大の特徴は、その「しなやかさ」と「色気」にあります。具体的には以下の点が挙げられます。


 3.2.1 柔らかくしなやかな肌触り

 イギリス生地に比べて、糸の撚りが甘く、打ち込みも比較的柔らかいため、カシミヤのようなとろけるような肌触りが特徴です。これにより、
 スーツを着用した際のゴワつき感がなく、ストレスフリーな着心地を実現します。


 3.2.2 艶やかな光沢感

 イタリア生地は、その多くが上質な原毛を使用し、加工技術にも優れているため、上品で艶やかな光沢を放ちます。この光沢が、スーツに華やかさと
 エレガントさを添え、見る人を惹きつけます。


 3.2.3 豊かなドレープ性

 糸のしなやかさと柔らかさにより、生地が身体の動きに合わせて美しく流れるようなドレープを生み出します。このドレープ性が、スーツに立体感と
 優雅さをもたらし、着用者の魅力を引き立てます。


 3.2.4 鮮やかな色使いと繊細な柄

 イタリア人は色に対する感性が豊かで、その生地にも鮮やかな色使いや、他では見られないような繊細な柄が特徴です。定番色はもちろんのこと、
 ライトグレーやブルー、ブラウンなど、豊富なカラーバリエーションが楽しめます。


 3.2.5 軽量で快適な着心地

 比較的薄手で軽量な生地が多いため、身体への負担が少なく、長時間着用しても疲れにくいのが特徴です。特に、日本の高温多湿な気候にも適しており、
 春夏シーズンには特に人気があります。


3.3 代表的なイタリア生地ブランド

世界中で愛されるイタリア生地のトップブランドをご紹介します。


 3.3.1 Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)

 1910年創業の、世界的に有名な高級生地メーカー。原毛の買い付けから最終的な生地の生産までを一貫して自社で行う「ファブリック・チェーン」を
 確立しており、その品質は折り紙付きです。スーパーファインウールからカシミヤ、シルク、モヘアなど、幅広い素材を取り扱っており、そのどれもが
 最高級の品質を誇ります。特に、「TROFEO(トロフェオ)」や「TRAVELLER(トラベラー)」は、ビジネスマンに人気のコレクションです。


 3.3.2 Loro Piana(ロロ・ピアーナ)

 1924年創業。ゼニアと並び称される、世界最高峰の高級生地メーカー。カシミヤやベビーカシミヤ、ビキューナといった希少な高級天然繊維の扱いに
 長けており、その生地はまさに「繊維の宝石」と称されます。極上の肌触りと圧倒的な高級感は、他の追随を許しません。ビジネススーツだけでなく、
 ジャケットやコートにも使用されるなど、その用途は多岐にわたります。


 3.3.3 Vitale Barberis Canonico(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)

 1663年創業という、イタリア最古の歴史を持つ生地メーカーの一つ。コストパフォーマンスに優れていながらも、上質なメリノウールを使用し、艶やかで
 美しい生地を生み出しています。豊富な色柄と、幅広いコレクション展開も魅力で、初めてのオーダーメイドスーツにもおすすめです。
 「SUPERSONIC(スーパーソニック)」は、高いストレッチ性と防シワ性を兼ね備えた人気のコレクションです。


 3.3.4 Reda(レダ)

 1865年創業。カノニコと並び、コストパフォーマンスに優れた人気ブランドです。高品質なニュージーランド産メリノウールを主に使用し、最新の技術と
 伝統的な職人技を融合させています。上品な光沢としなやかな風合いが特徴で、ビジネスシーンからカジュアルシーンまで幅広く対応できる生地を生産
 しています。


 3.3.5 Cerruti(チェルッティ)

 1881年創業。紳士服地の生産で有名ですが、プレタポルテ(既製服)も手掛ける総合ファッションブランドとしても知られています。イタリアらしい
 柔らかな風合いと美しいドレープ性に加え、都会的で洗練されたデザインが特徴です。ファッション感度の高いビジネスパーソンに人気があります。


3.4 イタリア生地がおすすめな人・シーン

イタリア生地は、その特性から以下のような方やシーンに特におすすめです。


 3.4.1 個性や華やかさを表現したい方

 鮮やかな色使いや、繊細な柄、そして艶やかな光沢は、着用者の個性を際立たせ、華やかさを演出します。ファッションにこだわりを持ち、スーツで
 自己表現をしたい方には最適です。


 3.4.2 ファッション感度の高いビジネスパーソン

 トレンドを取り入れつつも、品格を損なわないスーツを求める方には、イタリア生地がおすすめです。洗練された印象で、ビジネスシーンでも一目置かれる
 存在になるでしょう。


 3.4.3 軽やかで快適な着心地を求める方

 柔らかく軽量な生地が多いため、長時間の着用でもストレスを感じにくいのが魅力です。特に、デスクワークが多い方や、移動が多いビジネスパーソン
 には、その着心地の良さが大きなメリットとなります。


 3.4.4 パーティーや会食などの華やかな場

 結婚式の二次会や、レセプション、パーティー、高級レストランでの会食など、華やかでドレッシーな装いが求められる場面では、イタリア生地の
 スーツが最適です。その艶やかな光沢と美しいドレープが、場の雰囲気に華を添えます。


 3.4.5 温暖な気候での着用

 比較的薄手で通気性の良い生地が多いため、日本の春夏シーズンや、温暖な地域での着用に適しています。快適さを保ちながら、上品な着こなしを楽しむ
 ことができます。

4. イギリス生地とイタリア生地の比較:一覧表で理解を深める

 これまでの解説をまとめ、イギリス生地とイタリア生地の特徴を一覧表で比較してみましょう。


5. あなたにぴったりの生地を選ぶためのポイント

 イギリス生地とイタリア生地、それぞれに魅力があることをご理解いただけたでしょうか。では、実際にオーダーする際に、どのようにして自分にぴったりの生地を選べば良いのでしょうか。


 5.1 用途と着用シーンを明確にする

 最も重要なのは、そのスーツを「どのような目的で、どのような場面で着用するのか」を明確にすることです。

  • ビジネス用として毎日着用するのか? → 耐久性やシワになりにくさを重視するならイギリス生地。
  • 重要な会議やプレゼンテーションで着用するのか? → 信頼感や威厳を演出するならイギリス生地。
  • パーティーや会食など、華やかな場で着用するのか? → 華やかさやエレガントさを重視するならイタリア生地。
  • カジュアルなジャケットスタイルにも使いたいのか? → 軽やかさや着心地を重視するならイタリア生地。

 このように、用途やシーンによって求める機能や印象が異なります。


 5.2 どのような印象を与えたいか

 スーツは、着用する人の個性を表現するツールでもあります。

 ・軽やかで親しみやすい印象を与えたい → イタリア生地の柔らかな風合いや軽さがマッチします。

 ・真面目で誠実な印象を与えたい → イギリス生地の落ち着いた色柄やしっかりとした質感が適しています。

 ・洗練されたおしゃれな印象を与えたい → イタリア生地の艶やかさや鮮やかな色合いが効果的です。

 ・威厳や貫禄を演出したい → イギリス生地の重厚感やハリコシがそれを後押しします。


 5.3 気候と季節を考慮する

 生地の厚みや織り方によって、快適な着用シーズンが異なります。

  • 秋冬シーズンや寒冷地 → 打ち込みが強く、厚手のイギリス生地が防寒性に優れています。フランネルやツイードなども選択肢に入ります。
  • 春夏シーズンや温暖な地域 → 薄手で通気性の良いイタリア生地が涼しく快適です。モヘア混やリネン混の生地も検討すると良いでしょう。

 オールシーズン着用できる生地もありますが、それぞれの季節に特化した生地を選ぶことで、より快適にスーツを楽しむことができます。


 5.4 自身の体型や骨格との相性

 生地の特性は、着用者の体型や骨格にも影響を与えます。

  • がっしりとした体型や、肩幅が広い方 → イギリス生地のハリコシは、シルエットを美しく保ち、より堂々とした印象を与えます。
  • 細身の方や、柔らかな印象を与えたい方 → イタリア生地のしなやかさは、身体に沿うような美しいドレープを生み出し、よりエレガントな着こなしが可能です。

 テーラーに相談し、ご自身の体型に最適な生地のアドバイスをもらうことも重要です。


 5.5 予算とブランド選び

 イギリス生地もイタリア生地も、様々な価格帯のブランドが存在します。

  • 初めてのオーダーで手頃な価格帯から試したい → カノニコやレダなど、イタリアの比較的リーズナブルなブランドから始めるのも良いでしょう。
  • 一生ものの最高級スーツを仕立てたい → ゼニアやロロ・ピアーナ、ドーメル、スキャバルといった高級ブランドを検討する価値は十分にあります。

 予算と品質のバランスを考慮し、ご自身のニーズに合ったブランドを選ぶことが大切です。

6. オーダーメイドスーツを最大限に活かすために

 最高の生地を選んだとしても、それだけでは最高のスーツは完成しません。オーダーメイドスーツを最大限に活かすためには、以下の点も重要です。


6.1 信頼できるテーラー選び

生地選び以上に重要なのが、信頼できるテーラーを選ぶことです。テーラーは、生地の知識はもちろんのこと、採寸、フィッティング、デザイン提案など、スーツ作りのあらゆる工程において専門的な知識と経験を持っています。

  • 丁寧なカウンセリング:あなたの要望をしっかり聞いてくれるか。
  • 豊富な知識と提案力:生地やデザインについて、専門的な知識に基づいて適切な提案をしてくれるか。
  • 高い技術力:採寸やフィッティング、仕立ての技術が高いか。
  • アフターサービス:仕立て上がった後の修正やメンテナンスに対応してくれるか。

複数のテーラーを訪れ、実際に話を聞いて、ご自身に合ったテーラーを見つけることが成功への第一歩です。


6.2 採寸の重要性

オーダーメイドスーツの最大の魅力である「フィット感」は、正確な採寸によって実現されます。テーラーは、あなたの身体の曲線や特徴を細かく計測し、既製服では得られないあなただけのパターンを作成します。この採寸がスーツの着心地とシルエットを左右するため、テーラーの指示に従い、リラックスして臨むことが大切です。



6.3 仕立てのディテールにこだわる

生地を選んだら、次はスーツのディテールにこだわりましょう。

  • ラペル(襟)の形や幅
  • ポケットの形や数
  • ボタンの種類や色
  • 裏地の柄や色
  • 袖口のボタンの数や本切羽
  • パンツの裾の仕上げ(シングル、ダブル)

これらのディテールを一つ一つ選ぶことで、あなたの個性がより一層反映された、唯一無二のスーツが完成します。テーラーと相談しながら、あなたの理想のスーツ像を具体化していきましょう。



6.4 適切なケアとメンテナンス

どんなに上質な生地で仕立てたスーツでも、適切なケアとメンテナンスを怠れば、その寿命は短くなってしまいます。

  • 連続着用を避ける:着用後はハンガーにかけ、湿気を飛ばす。
  • ブラッシング:着用後に軽くブラッシングし、ホコリや汚れを落とす。
  • クリーニング:頻繁なクリーニングは生地を傷める原因となるため、汚れが目立つ場合やシーズン終わりに専門のクリーニング店に依頼する。
  • 保管方法:風通しの良い場所で、型崩れしないハンガーにかけて保管する。

適切なケアを行うことで、スーツの美しさを保ち、長く愛用することができます。


7. まとめ:究極の一着を見つける旅へ

 スーツをオーダーする際の生地選びは、奥深く、そして非常に楽しいプロセスです。イギリス生地の堅牢さと品格、イタリア生地のしなやかさと色気、それぞれに異なる魅力があり、どちらを選ぶかは、あなたのライフスタイル、価値観、そしてどのような自分を表現したいかによって大きく変わってきます。

この記事が、あなたの究極の一着を見つける旅のガイドとなれば幸いです。信頼できるテーラーと共に、あなたの個性を最大限に引き出す、最高のオーダーメイドスーツをぜひ手に入れてください。着用するたびに喜びを感じ、あなたのビジネスシーンやプライベートを豊かに彩る、そんな一着との出会いを心から願っています。

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